筑協|筑波研究学園都市交流協議会|つくば サイエンスシティネットワーク

筑協の活動 地域の連携と情報発信
研究力向上のためつくば地域で協力して情報の共有や発信についての取組を推進しています。つくばには、研究機関、研究を支援する機関に加え、科学技術の理解増進の活動をする機関やまちづくりを支援する機関等、数多くの機関が存在します。それぞれの機関の役割を知り、さらに相互の理解を深めることによって、新たな価値の発見やブランド力の向上のための活動を行っています。

つくばの科学技術の歴史を巡るツアー(未来技術遺産)
 つくば市内には、科学技術の発展を支えてきた貴重な実験設備や試作品、またデータが多く存在し、科学の遺産としてまた新たな価値を見出す活動も始まっています。今年度、NIMSが1966年より継続しているクリープデータシート事業に関わる資料が、国立科学博物館が登録する重要科学技術史資料(通称:未来技術遺産)に登録されたことをうけ、つくば市内にある未来技術遺産をまずは私たちが知ることから始めようという企画が持ち上がりました。つくば市内4か所に存在する未来技術遺産を管理する機関の全面的な協力のもと、筑協会員機関の広報担当職員が中心となって見学会を開催いたしました。見学会では冒頭に未来技術遺産の意義等についてレクチャを受け理解を深めた後、実際に未来技術遺産を訪ね現地で見学を行うことといたしました。

【 日  時 】令和7年1月23日(木)9:10集合、16:30頃解散
【 場  所 】研究交流センター、積水化学工業㈱、KEK、NIMS、産総研
【 参加者数 】22名(11機関)

重要科学技術史資料の意義
 国立科学博物館産業技術史資料情報センター長の前島正裕様から、当該センターの活動内容、未来技術遺産の意義についてレクチャをうけました。
 産業技術史資料情報センターでは、関連する工業会・学術団体・行政などと連携して、全国に残る産業技術の歴史資料の所在の把握、資料情報の蓄積と公開、技術発達と社会・文化・経済との相互関係の調査研究などの事業をされていること、さらに、次世代に継承していく必要があるものを未来技術遺産として選定されていることについて説明がありました。
 またこういった未来技術遺産の登録等の活動の意義として以下のように述べられました。
第一に、技術の歴史を残す重要性として、技術進展の条件、先達の大局での判断、難関の突破(ブレイクスルー)がどのようにしてなされたか、豊富な事例を提供してくれます。
第二に、科学研究や技術開発における日本の貢献と責任を世界に発信することができます。記録保存を怠ると科学技術の発展に対する日本の寄与を正当に評価されなくなる可能性があるのです。
第三に、技術は人間活動や文化と密接な関係にあり、技術資料を残すことは、歴史と文化はアイデンティティの確立につながり、これは社会の基礎をなすものであります。
第四に、日本の産業技術の特徴を明らかにすることは、今後日本が進むべき道を探ることにもつながります。
 戦後、日本がめざましい経済発展をとげた背景にはものづくりを中心とする産業技術があります。幾多の先人たちの努力によって達成されたものですが、そういった貴重な経験を物語る事物は急速に失われつつあります。つくばにある未来技術遺産を直接見て知ることは、日本の産業技術の歴史と意義についてより深く理解し、また未来を洞察することにつながる貴重な機会であると述べられました。

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レクチャの様子
もっとご覧になりたい方はこちら 重要科学技術史資料(未来技術遺産)

つくば市内4か所に存在する未来技術遺産
登録番号104号 「人工知能ロボット(産総研)」…産業ロボット
登録番号128号 「セキスイハイムM1(積水化学工業㈱)」…プレハブ住宅
登録番号143号 「508.6MHz、1.2MW連続波クライストロン(KEK)」…加速器の部品
登録番号379~381号「クリープ試験機及び設計図面類等3件(NIMS)」…試験機、試験片、議事録等
※今回都合により、登録番号104号「人工知能ロボット(産総研)」の代わりに、産総研で保管されている「メートル原器・キログラム原器」を見学しました。

セキスイハイムM1 -世界発の市場で成功したボックスユニット・プレハブ住宅-(積水化学工業㈱)
 良質安価な住宅の供給が急がれていた当時、革新的な技術として注目を浴び、1971年に発売、1974年に累積受注が1万棟を越えました。世界で初めて市場で成功したボックスユニットによるプレハブ住宅であること、工場生産の比率を上げたことで1万8000棟以上の販売を記録しました。国際的に見て日本の科学技術発展の独自性を示すものとして重要とされています。今回見学したセキスイハイムM1復元展示棟は、1977年から八王子で建築され実際に使用されていたものをつくばに移築したものだそうです。
<登録番号>第00128号
<名称>セキスイハイムM1
<所在地>茨城県つくば市
<所有者・製作者>積水化学工業株式会社
<製作年>1971年
<選定理由>世界で初めて市場で成功したボックスユニットによるプレハブ住宅である。あらかじめ工場で、部屋単位またはその分割サイズで鉄骨を箱形に組み、そこに内装・外装材をはめ込んで現場に輸送し、現場では接合部分だけを施工した。プレハブ住宅の工場生産の比率を上げたことで、1万8千棟以上の販売を記録した。当時の一般的な建築単価5~6万円/㎡(坪17~20万円)に対して4万円/㎡(坪13万円台)に抑えることを実現した。国際的に見て日本の科学技術発展の独自性を示すものとして重要である。

セキスイハイムM1
セキスイハイムM1
(出典:セキスイハイムホームページ)

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ユニット工法による良質安価な住宅 工業化ユニット住宅 セキスイハイムM1


508.6MHz、1.2MW連続波クライストロン -世界一安定で高出力の連続波クライストロン-(KEK)
 電荷を持った電子や陽子あるいは原子から電子をはぎ取ったイオンなどを荷電粒子といい、そのような荷電粒子を電磁力によって加速する装置を加速器といいます。加速器は物質や生命の謎を解き明かすとともに、新材料の開発、農作物の品種改良、医療への利用など、私たちの身近な分野で社会に役立っています。具体的には、美味しいチョコレートの秘密の解明、胃がんの原因となるピロリ菌、はやぶさ2が持ち帰った地球外試料の研究等もKEKで行われているそうです。
 KEKは、大型テーマパーク数個分ほどの面積があり、周長約3kmのSuperKEKB加速器等の装置が設置されています。クライストロンは、電子と陽電子を加速するため大電力の高周波を出力する装置で、SuperKEKBで使用されているクライストロンは、90kV/20Aの直流電力と数Wの高周波を入力すると、最大1.2MWの高周波出力が得られます。2002年の改良型は、世界一安定で高出力であるとして、2014年に未来技術遺産に登録されました。この登録されたクライストロン含め、SuperKEKBには合計31本のクライストロンが設置されており、今でも現役で使用されているのには驚きました。
<登録番号>第00143号
<名称>508.6 MHz、1.2 MW 連続波クライストロン(E3732、T62)
<所在地>茨城県つくば市
<所有者・製作者>高エネルギー加速器研究機構
<製作年>2002年
<選定理由>トリスタン及び KEKB 加速器の電子と陽電子の加速用に、KEKと東芝により共同開発された世界最大級のUHF帯連続波クライストロンである。世界で初めて連続安定出力1.35MWを達成した。プロトタイプに比べ、製造過程の処理技術や、電子銃・出力カプラー・蒸発冷却式コレクター等は格段に改良され、その技術は各種大電力クライストロンの開発に生かされてきている。ボディとアノード間の耐圧を上げるために、アノードの銅に酸化クロムコーティングを施し、介在する絶縁体セラミックの形状を工夫した。また、バリウムの過度な蒸発を防ぐため、低温型のM型カソードを採用したり、Multipactoringによる出力窓の破損を防ぐため、セラミック窓を窒化チタンでコーティングするなど、本資料では多くの独創が実現された。窒化チタンやRFカプラーの方式は、現在では世界標準として使用されている。

KEK1
見学の様子

            クライストロン
                 ➡
KEK2




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KEKのクライストロン 重要科学技術史資料(未来技術遺産)として登録


日本鉄鋼協会「クリープ委員会」議事録及び関連資料
  -高温構造部材の信頼性に資する長時間クリープ試験計画の礎-(NIMS)
 高温に加熱された試験片に一定の荷重をかけて、金属材料の時間の経過に伴うクリープ変形量や破断するまでの時間を測定する試験です。高温で金属材料に荷重がかかると、時間の経過に伴って徐々に塑性変形が進むクリープ (Creep : 「這う」の意) という現象が起こるため、ボイラやタービンなどの火力発電プラント、石油化学プラントの圧力容器などの大型高温機器に使われる材料でクリープが問題になります。 1964年、日本鉄鋼協会にクリープ委員会が設立され、クリープデータシート事業発足に至る経緯等を示す資料等は、会議参加機関や代表者氏名などが残る唯一の文書類です。産官学の一線の研究者・技術者が結集することで、クリープデータシート作成作業方案が確立された経緯を示す極めて貴重な資料を見学しました。
<登録番号>第00379号
<名称>日本鉄鋼協会「クリープ委員会」議事録及び関連資料
<所在地>茨城県つくば市
<所有者>国立研究開発法人 物質・材料研究機構
<製作者>日本鉄鋼協会 クリープ委員会
<製作年>1965~1966年
<選定理由>本資料は、産官学連携によって結実したクリープデータシート事業発足に至る経緯を示す資料である。1964年、科学技術庁の資源調査会より超臨界圧火力発電開発の勧告が出され、日本鉄鋼協会にクリープ委員会が設立された。1965年、クリープ委員会内にクリープデータシート分科会を設置し、翌年クリープデータシート作成作業方案が承認され、事業が開始した。会議参加機関や代表者氏名などが残るおそらく唯一の文書類である。日本における鉄鋼の信頼性向上技術の基礎資料として、重要である。


クリープ試験機及び設計図面類 -数十年を越える長期クリープ試験を支える試験技術-
 クリープ試験を行う実験施設には、380台の試験機があり、高温で負荷をかけられた金属がどう劣化していくかの試験が行われています。金属は長い時間をかけて徐々に劣化していきますが、NIMSは、1966年以来このクリープ試験を続けており、試験片を長期間引っ張り続けた実験としてギネス世界記録にも認定されています。
<登録番号>第00380号
<名称>クリープ試験機及び設計図面類
<所在地>茨城県つくば市
<所有者>国立研究開発法人 物質・材料研究機構
<製作者>金属材料技術研究所(現 物質・材料研究機構)
<製作年>1965~1969年
<選定理由>本資料は、世界最長のクリープ試験記録を生み出すなど国産耐熱金属材料の信頼性向上の原点となった試験機である。1960年代に金属材料技術研究所が開発・設置し、開発当初の設計図面なども保存されている。2011年のつくば移転に伴い、500台に集約した。電気炉などの消耗部分は最新機器に更新しているが、本体フレームなどは当初のものである。40年を超える世界最長のクリープ試験を行うなど、産業界に多大な貢献を果たしている。日本における鉄鋼の信頼性向上技術の基礎資料として、重要である。


クリープデータシートとその記録類、クリープ破断試験片
  -長期にわたるクリープ試験データとその品質を担保する記録類-
 1966年以降、長時間クリープ試験で得られたデータを随時とりまとめ、NIMSクリープデータシートとして発刊し続けています。これらは高温構造物の設計応力や材料選択のための基準参照データとして産業界において広く利用されています。各試験データの品質を担保するものとして、試験前後の試験片の寸法測定結果、使用した熱電対の識別番号、数十年の試験中に生じた事象(停電、地震など)他がすべて記録された記録類が保管されています。
<登録番号>第00381号
<名称>クリープデータシートとその記録類、クリープ破断試験片
<所在地>茨城県つくば市
<所有者・製作者>国立研究開発法人 物質・材料研究機構
<製作年>1966~現在
<選定理由>本資料は、世界最長のクリープ試験データを含む膨大な記録と試験片、作成されたデータシートである。クリープデータシートは、クリープ試験をJIS規格に従い実施し、55年以上継続的に取得・蓄積した長期試験データを更新しつつまとめている。取得データは、機械や構造物の設計応力設定や材料選択、材料の劣化状況や余寿命評価判断の基礎データとして、産業界で広範に活用されている。データとともに試験片の戸籍管理が行われている。日本における鉄鋼の信頼性向上技術の基礎資料として、重要である。

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NIMSクリープデータシート事業に関わる3件が「未来技術遺産」に登録
数十年じーっと待つ研究 (Decades of patience to ensure power plant safety)


NIMS1
見学の様子1
NIMS3
見学の様子2
NIMS2
クリープ試験機
NIMS4
クリープ試験機設計図面
メートル原器・キログラム原器 -我が国の度量衡制度近代化への礎を築く-(AIST)
 産総研では、人工知能ロボット(ETLロボットMk1)-世界初の作業用ハンド・アイ・システム-が未来技術遺産として登録されています。今回施設の改修等の都合により保存場所に立ち入れないことから、残念ながら見学することができませんでしたが、担当の皆様のご厚意で、国指定重要文化財であるメートル原器、キログラム原器を代わりに見学させていただきました。
 明治初期の日本の度量衡は、法制的には尺貫法に従っていましたが、欧米の学問や技術の導入に伴い、一部の分野ではメートル法が浸透していました。科学教育、軍事、気象の分野からメートル法が採用されはじめ、1891年(明治24年)に、メートル原器を我が国の長さの原器とし、メートル法を基礎とする度量衡法が公布されました。
 国際的に統一された単位を制定しようとする試みが始まったのは、18世紀のフランスです。パリを通る子午線の北極から赤道までの長さの1000万分の1として、メートルが定義され、さらに、1リットルの水の質量を基準にして、キログラムが定義されたそうです。世界中のだれにとっても受け入れやすい単位とするため、地球の大きさや水の性質が基準として選ばれたといわれています。
 日本は1885年(明治18年)にメートル条約に加盟し、それと同時に、当時製作中であったメートル原器を注文しています。1889年(明治22年)の第1回国際度量衡総会において、30本のメートル原器のうち、No. 6原器を「国際メートル原器」とすることが承認され、この「国際メートル原器」に基づきメートルが定義されました。同時に各国用原器の配布先が決定し、日本にはメートル原器No. 22が配布されました。翌1890年(明治23年)にメートル原器およびその校正証明書が日本に到着しています。1960年、メートルの定義は光の波長にもとづくものに改定され、メートル原器はその役割を終えました。メートル法の採用は、その後の日本の産業発展に大きく貢献したことなどをうけ、2012年「メートル条約並度量衡法関係原器」として重要文化財に指定されました。
 質量の単位「キログラム」については、1889年から2019年までの約130年間、世界に一つしかない分銅「国際キログラム原器」の質量として定義されていました。日本のキログラム原器は、この国際キログラム原器と同じ材料を使ってメートル条約加盟国用キログラム原器として複製された40個うちの一つで、No.6と番号付けされています。現在では新しいキログラムの定義の基準となるプランク定数が決定し、普遍的な物理定数によって質量の単位が定義されており、2022年には歴史上及び学術上の価値が評価され、「メートル条約並度量衡法関係原器」に追加指定されました。

AIST1
見学の様子1
AIST4
見学の様子2
AIST2
メートル原器
AIST3
右:キログラム原器(レプリカ)
左:シリコン単結晶球体
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NMIJが管理する国指定重要文化財「メートル条約並度量衡法関係原器」


つくばの科学技術の歴史を巡るツアー全体をとおして
 今回、オールつくばとして、つくばの新たな魅力、ブランド力向上を目指しまして、まずは試行的に関係者で理解を深めていくことを目的として開催いたしました。10時にバスで交流センターを出発し、積水化学工業㈱、KEK、NIMS、産総研の順に巡りながら、実際の遺産等を見学させていただき、また16時頃にセンターに戻る行程でした。現地では通常の広報業務の一環として説明をお願いし、また参加者からの質問にも丁寧にご回答いただきました。また移動のバスの中でも、時間を有効活用しながらそれぞれの担当者から詳しい説明もあり、より理解を深めることができました。この場をかりて厚く御礼申し上げます。
 終了後の意見交換では、つくばの知られざる魅力を知ることができてたいへん有意義であったこと、またつくばには長い科学の歴史の中ではぐくまれた歴史的資料がまだたくさんあり、未来技術遺産に準ずるものとしてもっと発信していくべき、といった意見もありました。さらに、今回のバスツアーを通じて、保存管理する職員の思いや熱意も感じることができ、これからつくばで働きたいと考えている若い人たちに届けることも大事、という意見もありました。とくに個々の機関にインターンなどで学生が訪れることがあるが、他方でつくばという街を知ってもらうことも重要で、連携しながら他の機関もあわせて紹介できる機会があってもよいのではないか、職場としてのつくば、生活の場としてのつくばを考えてもらえるような機会を作ることが、より魅力の発信につながるという議論も交わされました。

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国立公文書館つくば分館バックヤード見学
 国立公文書館は、国の機関で作成された膨大な公文書の中から、歴史資料として重要なものを選んで保存し、一般に公開してご利用いただくための機関です。保存されている公文書は、日本の歩みを後世に伝えるための国民共有のかけがえのない財産です。つくば分館は、書庫等の拡充を図るため、平成10年7月に設置され、移管を受けた歴史資料として重要な公文書等を永久に保存し、国民の利用に供するための様々な取組を行っています。
 行政機関はもとより独立行政法人も公文書管理法の適用対象です。また、国立公文書館は、公文書の保存及び利用の推進を図るため、国、独立行政法人、地方公共団体等との情報共有や技術的協力などの連携協力も行っており、会員機関同士の相互理解を深めることを目的として、つくば分館バックヤード見学を企画しました。
 令和6年11月に4回にわたりつくば分館を訪問し、のべ59名、12機関の職員が業務内容について説明を受け、各機関から移管された公文書が保管されている状況を、普段入ることのできない書庫等のバックヤードにおいて確認させていただきました。

国立公文書館つくば分館における公文書の受入れ、保存
 特定歴史公文書等(国の機関等から受け入れた歴史公文書等)は、かびや虫害等による劣化を防ぐために、くん蒸という作業が行われています。くん蒸には、酸化エチレンを主剤としたガスによる減圧式くん蒸装置が使用されており、文書を受入れる室において実際にくん蒸を行う装置の操作や10日程度の日数を要すること等について説明を受け、一連の工程について理解を深めました。
 くん蒸処理、整理が終わった特定歴史公文書等は、直射日光、高温多湿、塵埃、大気汚染物質等から保護するために、温度22℃、湿度55%の空調設備の整った書庫に収納されています。実際に書庫に入り、火災に備えて、煙感知器及びイナージェンガス噴射による消火設備等が整備されていることを確認しました。
 また、適切な管理及び効率的な利用を図るため、1冊ごとに簿冊の標題を記載した目録(簿冊目録)等の作成やインターネット等を通じての検索のためにデータベース化も行っていること、具体の古文書を例にデジタルアーカイブの操作方法等についても説明がありました。

国立公文書館つくば分館バックヤード見学に参加した感想など
  • くん蒸を行う部屋や書庫等バックヤードでは、温度やにおいなどもリアルに感じることができ貴重な体験でした。公文書が大切に保管されている様子をみて、とても親しみを感じました。
  • つくば科学万博の用地選定の際に国と地方自治体の間のやりとりが保存されているのを例に、意思決定の過程とその経緯を公文書から読み解くことができることをご紹介いただきました。保存されている公文書は、日本の歩みを後世に伝えるための国民共有のかけがえのない財産であるとあらためて感じました。
  • 御璽のルールから見た終戦の文書についてご説明の中で、作成に関わられた人の「思い」も垣間見ることができて、とてもエキサイティングでした。各種設備も見応えがあり、秘密保持を考慮しながらもその魅力を知り、広く利用を促していきたいと感じました。
  • 源氏物語の一節から、当時の文化やシミ(紙をたべるムシ)などが人々に認知されていたことなど、読み解くことができることにも感動しました。日本の歴史に触れ未来の在り方についても考えることができる施設だと思いました。
 終了後のアンケートでは、他の機関を知るとても良い企画であること、また他の機関にも知られていない価値や魅力がもっとあるのではないかという声もありました。また、資料の修復のノウハウや目録作成の仕方、施設の維持や管理等々、もっと関係機関同士で連携できることも認識されました。
 その他、こんな企画はどうかという提案もありましたので、また機会をつくり、つくばの新たな魅力を発掘する活動を継続していきたいと思います。

当日の様子

 


※国立公文書館では、館の業務(利用、保存、修復、展示等)を紹介するため、行政機関、民間企業、学校、NPO法人等の様々な団体の見学を受け入れています。このほか、個人が参加できるツアーを開催しています。

  国立公文書館ホームページ
  国立公文書館見学(ツアー)のご案内 東京本館とつくば分館の見学ツアーがあります

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特別セッション『つくば研究機関の令和6年能登半島地震対応報告と今後の連携』
 防災科学技術研究所寶理事長のよびかけにより、能登半島地震の観測や調査、復旧支援等に関わった11の研究機関が一堂に会し、活動の報告を行う特別セッションが開催されました。福田敬大・筑協会長は、各研究機関が災害発生時に実施した調査や支援活動を共有・発信することで、より広範な情報交換が可能となり、それが今後の研究や連携強化に寄与することへの期待を述べました。
【 日  時 】令和6年10月11日13:00~17:00
【 場  所 】東京国際フォーラム ホールB5
【 開  催 】防災科学技術研究所令和6年度成果発表会にて

つくば研究機関の地震対応における連携の在り方
 つくばにある災害に関する研究を行う機関は、災害発生時に技術的な専門家を現地に派遣し、特異な被災事象等に対する被災状況調査を行う機関、被害施設等の応急措置に対応する機関、またインフラの復旧、農業復旧やがれき処理において高度な技術指導や提案を行う機関、さらには、バックヤードにおいても画像の提供や観測データの解析を行う機関、自治体の対応を把握し今後の災害対応につなげる機関等、広範囲かつ多岐にわたり、長いスパンで災害対応、復興の支援を行っています。そういった一連の活動を共有・ 発信し、令和6年能登半島地震に対する各機関の対応を振り返るとともに、今後の連携のあり方について意見交換が行われました。

参加機関
  • 防災科学技術研究所
  • 宇宙航空研究開発機構
  • 農業・食品産業技術総合研究機構
  • 森林研究・整備機構森林総合研究所
  • 産業技術総合研究所
  • 国土交通省国土技術政策総合研究所
  • 国土地理院
  • 気象庁気象研究所
  • 土木研究所
  • 建築研究所
  • 国立環境研究所
つくば研究機関の災害対応における今後への期待
 このような調査や迅速なデータ公開には、平常時からの情報共有、蓄積が重要です。引き続き、関係機関と協力しながら、各災害から学んだ知見・ 教訓を蓄積・ 体系化し、広く共有化する取組を通じて、防災・ 減災の技術基盤の拡充に資する成果の施策への反映、現場実装を行っていく必要があります。また日ごろから関係機関で各種調査の方法や計測の基準を共有する等、機関同士が連携した研究や解析の信頼性を高めていくことの重要性も話し合われました。

当日の様子

   

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