筑協|筑波研究学園都市交流協議会|つくば サイエンスシティネットワーク

筑協の活動 地域の連携と情報発信
研究力向上のためつくば地域で協力して情報の共有や発信についての取組を推進しています。つくばには、研究機関、研究を支援する機関に加え、科学技術の理解増進の活動をする機関やまちづくりを支援する機関等、数多くの機関が存在します。それぞれの機関の役割を知り、さらに相互の理解を深めることによって、新たな価値の発見やブランド力の向上のための活動を行っています。

国立公文書館つくば分館バックヤード見学
 国立公文書館は、国の機関で作成された膨大な公文書の中から、歴史資料として重要なものを選んで保存し、一般に公開してご利用いただくための機関です。保存されている公文書は、日本の歩みを後世に伝えるための国民共有のかけがえのない財産です。つくば分館は、書庫等の拡充を図るため、平成10年7月に設置され、移管を受けた歴史資料として重要な公文書等を永久に保存し、国民の利用に供するための様々な取組を行っています。
 行政機関はもとより独立行政法人も公文書管理法の適用対象です。また、国立公文書館は、公文書の保存及び利用の推進を図るため、国、独立行政法人、地方公共団体等との情報共有や技術的協力などの連携協力も行っており、会員機関同士の相互理解を深めることを目的として、つくば分館バックヤード見学を企画しました。
 令和6年11月に4回にわたりつくば分館を訪問し、のべ59名、12機関の職員が業務内容について説明を受け、各機関から移管された公文書が保管されている状況を、普段入ることのできない書庫等のバックヤードにおいて確認させていただきました。

国立公文書館つくば分館における公文書の受入れ、保存
 特定歴史公文書等(国の機関等から受け入れた歴史公文書等)は、かびや虫害等による劣化を防ぐために、くん蒸という作業が行われています。くん蒸には、酸化エチレンを主剤としたガスによる減圧式くん蒸装置が使用されており、文書を受入れる室において実際にくん蒸を行う装置の操作や10日程度の日数を要すること等について説明を受け、一連の工程について理解を深めました。
 くん蒸処理、整理が終わった特定歴史公文書等は、直射日光、高温多湿、塵埃、大気汚染物質等から保護するために、温度22℃、湿度55%の空調設備の整った書庫に収納されています。実際に書庫に入り、火災に備えて、煙感知器及びイナージェンガス噴射による消火設備等が整備されていることを確認しました。
 また、適切な管理及び効率的な利用を図るため、1冊ごとに簿冊の標題を記載した目録(簿冊目録)等の作成やインターネット等を通じての検索のためにデータベース化も行っていること、具体の古文書を例にデジタルアーカイブの操作方法等についても説明がありました。

国立公文書館つくば分館バックヤード見学に参加した感想など
  • くん蒸を行う部屋や書庫等バックヤードでは、温度やにおいなどもリアルに感じることができ貴重な体験でした。公文書が大切に保管されている様子をみて、とても親しみを感じました。
  • つくば科学万博の用地選定の際に国と地方自治体の間のやりとりが保存されているのを例に、意思決定の過程とその経緯を公文書から読み解くことができることをご紹介いただきました。保存されている公文書は、日本の歩みを後世に伝えるための国民共有のかけがえのない財産であるとあらためて感じました。
  • 御璽のルールから見た終戦の文書についてご説明の中で、作成に関わられた人の「思い」も垣間見ることができて、とてもエキサイティングでした。各種設備も見応えがあり、秘密保持を考慮しながらもその魅力を知り、広く利用を促していきたいと感じました。
  • 源氏物語の一節から、当時の文化やシミ(紙をたべるムシ)などが人々に認知されていたことなど、読み解くことができることにも感動しました。日本の歴史に触れ未来の在り方についても考えることができる施設だと思いました。
 終了後のアンケートでは、他の機関を知るとても良い企画であること、また他の機関にも知られていない価値や魅力がもっとあるのではないかという声もありました。また、資料の修復のノウハウや目録作成の仕方、施設の維持や管理等々、もっと関係機関同士で連携できることも認識されました。
 その他、こんな企画はどうかという提案もありましたので、また機会をつくり、つくばの新たな魅力を発掘する活動を継続していきたいと思います。

当日の様子

 

特別セッション『つくば研究機関の令和6年能登半島地震対応報告と今後の連携』
 防災科学技術研究所寶理事長のよびかけにより、能登半島地震の観測や調査、復旧支援等に関わった11の研究機関が一堂に会し、活動の報告を行う特別セッションが開催されました。福田敬大・筑協会長は、各研究機関が災害発生時に実施した調査や支援活動を共有・発信することで、より広範な情報交換が可能となり、それが今後の研究や連携強化に寄与することへの期待を述べました。
【 日  時 】令和6年10月11日13:00~17:00
【 場  所 】東京国際フォーラム ホールB5
【 開  催 】防災科学技術研究所令和6年度成果発表会にて

つくば研究機関の地震対応における連携の在り方
 つくばにある災害に関する研究を行う機関は、災害発生時に技術的な専門家を現地に派遣し、特異な被災事象等に対する被災状況調査を行う機関、被害施設等の応急措置に対応する機関、またインフラの復旧、農業復旧やがれき処理において高度な技術指導や提案を行う機関、さらには、バックヤードにおいても画像の提供や観測データの解析を行う機関、自治体の対応を把握し今後の災害対応につなげる機関等、広範囲かつ多岐にわたり、長いスパンで災害対応、復興の支援を行っています。そういった一連の活動を共有・ 発信し、令和6年能登半島地震に対する各機関の対応を振り返るとともに、今後の連携のあり方について意見交換が行われました。

参加機関
  • 防災科学技術研究所
  • 宇宙航空研究開発機構
  • 農業・食品産業技術総合研究機構
  • 森林研究・整備機構森林総合研究所
  • 産業技術総合研究所
  • 国土交通省国土技術政策総合研究所
  • 国土地理院
  • 気象庁気象研究所
  • 土木研究所
  • 建築研究所
  • 国立環境研究所
つくば研究機関の災害対応における今後への期待
 このような調査や迅速なデータ公開には、平常時からの情報共有、蓄積が重要です。引き続き、関係機関と協力しながら、各災害から学んだ知見・ 教訓を蓄積・ 体系化し、広く共有化する取組を通じて、防災・ 減災の技術基盤の拡充に資する成果の施策への反映、現場実装を行っていく必要があります。また日ごろから関係機関で各種調査の方法や計測の基準を共有する等、機関同士が連携した研究や解析の信頼性を高めていくことの重要性も話し合われました。

当日の様子

   

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